51年目の挑戦

                               

         

 

私がこの造園の仕事を始めまして、はや50年が過ぎました。今年からは心機一転、新たな51年目のスタートとなっています。

 

さて、私が大学生の頃の京都は、戦後からの脱却 復興の真っ最中。まだ今と違って道路はアスファルトの舗装もされておらず、地べたが見えていました。自然がまだまだ豊かな時代であったのです。

それが、昭和40年代に入ると日本は高度経済成長期を迎えます。

道は舗装され、どんどん新しい文化住宅が建ち並び、あっという間にコンクリートジャングルへと変わってしまいました。

地球を人間で例えると、これは皮膚の上にできものがいっぱい出来ている状態だとは思いませんか?

自分だったらたまらないと思います。

こうして今では町から自然の緑がすっかり無くなりました。今では洋風化された街路樹ぐらいしかありません。

昔の日本人、特に京都人は衣食住すべてに自然を取り込んで、文化的にも重視してきましたが、今はその自然を感じる場所がどんどん無くなっているので、本当にさみしい事です。

この様な時代の作庭ですので、私が依頼を受けた時には少しでも、その場所に以前存在していた自然の再現を試みたいと考えています。

自然豊かな庭では、そこにいる小魚、水たまりで遊んでいるあめんぼう、すすきにトンボがとまり、そして飛び立つ姿などが見られます。そんな景色を見て、心をホッと和らげていただきたいのです。

 

ささやかな自然を取り戻し、施主の方が傍においておかれる光景。それが私の51年目の挑戦として私がこれから行っていきたい庭づくりの姿です。

 

                                         11代 小川治兵衞